ニンニクの起源

 ニンニクの歴史は非常に古く、華やかな一時代を築いた古代エジプトにさかのぼると言われます。エジプトのピラミットをつくった労働者の体力と持続にはニンニクが貢献したと言われております。古代エジプトからギリシャ、ローマ文明の時代を通じてニンニクは主に強壮用に用いられていました。整腸のためや、呼吸器疾患、皮膚炎、寄生虫病、外傷に効くことが知られ、さらに長寿によく、老人ボケにもよい、と文献には記載してあります。その後ニンニクはインドを経て中国にたどり着き、遊牧民の手で栽培され、広く利用されました。日本へは朝鮮半島を経て崇神天皇(紀元前98年〜30年在位) の時代に伝わったと言われます。奈良時代の万葉集にはニンニクの食べ方が、又、「源氏 物語」の中にもニンニクは薬草( 熱さましの薬) として登場します。

成分と栄養価

 ニンニクには、スコルジニンとアリシンという成分が含まれています。スコルジニンは、体内の栄養素を燃焼させてエネルギーに変える働きがあります。また、疲労を防止するビタミンB1の働きを高める作用もありますから、体に精をつけ更年期特有の倦怠感を取り除きます。一方アリシンは胃腸の働きを促進する作用があり、食欲不振を解消します。また、深刻な冷え性や不眠症にもスコルジニンが作用して解消します。毎日、生なら一片、加熱したものなら2〜3片ずつ食べるのが目安です。

ニンニクの有効成分と働き

エネルギー(Kcal) --- 138.0
カルシウム ------- 15.0
ビタミンA効力 ------- 0.00
水分(g) ----------- 60.3
リン --------------- 200.0
ビタミンB1 --------- 0.21
タンパク質(g) -------- 8.4
鉄 ----------------- 1.0
ビタミンB2 ----------- 0.11
脂質(g) ------------ 0.1
ナトリウム ----------- 6.0
ナイアシン --------- 0.90
糖質(g) ------------- 28.7
カリウム --------- 720.0
ビタミンC ----------- 19.00
繊維(g) ------------ 0.9
マグネシウム -------- 20.0
ビタミンE 効力 ----- 0.40
亜鉛 ----------- μg1100.0  
銅 ----------- μg 110.0

 アリシンは、私達の体の中の脂肪や糖質、あるいはタンパク質と結合して新しい物質になり、有効に機能します。もちろん、アリシン単独の働きもありますが、結合することにより、いっそう幅のある効果を持つことになります。1たす1は2ですが、そこに何かが結合することで、5にも10にもなります。まさしくそれがニンニクの特徴なのです。このようなユニークな特徴は、ニンニク以外には見当たりません。このほか、アリシンには強い殺菌作用があります。このため結核菌や風邪のウイルス等を弱めたり、殺すことが出来るのです。さらに、肉などを保存するときにこの殺菌作用が役に立ちます。ニンニクには速効性があります。その効き目があきらかになっているのは、動物にかまれた傷、トリカブト中毒、打ち身、ゼンソク、セキ、肝臓病、下痢、腹痛、寄生虫病、炎症などです。

にんにくの「10」の特徴

1.他の物質と結びついて、より大きな働きをする。
2.吸収性、浸透性、代謝性が強い。
3.速効性があるので、効き目がよくわかる。
4.殺菌作用が強いので、利用範囲が広い。
5.治療効果よりも予防効果が優れている。
6.体に優しく副作用がない。
7.調理により味に幅がでる。まさに「味の王者」と言える。
8.いつでも、どこでも、安価で手に入る。
9.簡単な方法で長期保存ができる。
10.身近に利用できる万能薬である



■体によくても食べすぎには注意■

 ニンニクに含まれるアリインは非常に働きの強い成分です。ニンニクは体によいからといっても、大量に食べたのでは害になります。大量の摂取の害として胃に穴があいたり(貧血)尿が赤く濁って強い疲労感を訴えたりすることがわかっています。「過ぎたるはおよばざるが如し」のことわざに従い、多量のニンニクを食べることは慎むべきです。適量でさえあれば、ニンニクはけっして害を及ぼしません。副作用もなく、実に体に優しく働くのです。ニンニクは度を越さず、毎日適量(2、3片)を食べ続けることが大切です。食べ続けることで、ニンニクの有効成分が24時間働き、機能の低下しているところに対しては、機能向上を図ります。ホルモンの分泌が悪ければ、分泌器官に働いて、ホルモンのバランスを保ってくれるのです。

■熱を加えて調理すること■

 ニンニクのにおいを出す源は、アリインというタンパク質です。
 ニンニクを切ったり、おろしたりして空気中の酸素に触れると アリナーゼという酵素が働いて、アリインがアリシンに変わり、強いニンニク臭を発生します。そしてこのアリシンに変わる過程で、ニンニクはその薬効を働かせます。このアリナーゼは熱に弱く、数分間ボイルしたり焼くことで壊れてしまい、ニンニクを切ってもにおいはなくなってしまいます。それでもアリインは体内に入ってからビタミンB6 と結合することでアリシンに変化し、薬効を発揮してくれます。また傷をつけたり、おろし金などですりおろしたニンニクを長時間放置しておくと、においが消えてなくなります。アリインとアリナーゼがすべて反応してしまえば、におわなくなるのです。だからこんな場合は短時間で処理することが大切です。

■正しい食べ方■=常食する

 1回摂ると何時間後にその効果があらわれるかでは、男女差があります。女性はニンニクを食べたあと6時間くらいで効きはじめますが男性では12時間くらいかかります。また、一回の摂取で、2日間にわたって効くことがわかりました。ニンニクを食べているのに風邪をひいてしまった、という話を聞くことがあります。いくらニンニクを食べたとしても、2日目の後半になると、風邪に対する抵抗力は薄れてきます。こうした時風邪をひくのです。ニンニクを食べていれば風邪を予防し、体の抵抗力を高め、リズムを整えます。ただし、昨日食べたから今日はやめようというのではなく、毎日続けることでそのよさが発揮できるのです。

■食べすぎない■

 いい加減な食べ方をすると、胃が痛んだり、下痢や腹痛を起こしたり、食欲不振などの害作用が現れてきます。これは量を誤り、摂りすぎたために起こる症状なのです。

■適量の目安を知る■

 ほとんど出回っているのが、「ホワイト六片種」という品種で すが、ニンニクの皮をむくと、「鱗片」と呼ばれる白い片が六つあります。一球は50〜60gくらいなのでこの一つの鱗片は10g程度です。これを二〜三片摂るのが成人の適量です。この量を目安にして、継続して食べることが必要です。ニンニク酒の場合、一日にちょこ1、2杯が適量です。

■体調にあわせる■

 少しのことから胃の調子が悪い人とかちょっとのことで下痢をしやすい人などは空腹時にニンニクをたべると、ニンニクの刺激により、いっそう強く下痢などを引きおこすことがありますので注意が必要です。胃の弱い方は、ある程度胃の中を満たしてから食べれば、刺激が少なくて済みます。また、どんな丈夫な胃腸の持ち主であってもニンニクの刺激の正体であるアリシンの力は強いので、侮ってはいけません。特に高齢者の方はよ りいっそう注意してください。要は自分のふだんの体力や弱点、または食べるときの体調に配慮していただきたいのです。そうして一般的な適量から、体調に合わせて量を少し減らしてみるなどの工夫もたいせつです。ニンニクには、体の調子の悪いところに作用し、元に戻す効果があります。このことを専門的には、体の恒常性作用(ホメオスターシス) と呼んでいます。例えば貧血の人であれば、正常な血液に戻し、さらには赤血球数まで増やしてくれます。肝臓が悪ければ、その活動を助け、正常な状態に戻すように働くのもニンニクなのです。食べ方さえ誤らなければ、実に体に優しいものなのです。

■料理方法を考える■

 生で食べるには刺激と臭いが強すぎて、少し抵抗があります。このためいろいろな料理に使うのが賢い方法です。焼いたり。フライにして食べるほうが、臭いも刺激も少なくなり、味もいっそう引き立ちます。さらにいろいろな料理に加えたり、隠し味として用いれば一石二鳥です。くさい思いをして生のまま食べても、加熱してほとんど無臭になったものを食べても、その効力は変わりありません。アリナーゼは沸騰したお湯の中に入 れると、5分程度で壊れてしまいます。これ以上を熱を加えても意味がありません。加熱する場合は、あまり時間をかけずに手早く調理することがコツです。

■保存方法を考える■

 なんといっても冷蔵庫保存をおすすめします。ネット入りのものを買い求めた場合はそのままの状態で野菜室に入れて下さい。また、ビニール入りのものを購入した場合は必ず取り出して、冷蔵庫に保存してください。ニンニクも呼吸しているのでビニールのままだとカビが発生します。また、小分けして (皮をむいた状態)冷凍することもできます。利用する場合は凍ったまま使用します。発芽の心配もなく有効成分を新鮮なまま保存で きます。

臭いの和らげ方・ニンニクの特性を利用する

 アリシンはタンパク質や脂質、糖質と非常に結合しやすいため、結合するとそれらの物質がアリシンを包み込み、においをなくしてしまいます。つまり、タンパク質、脂質、糖質などカバー されるわけです。ステーキや肉類、あるいは魚を焼いたりするときに、たくさんのニンニクを用いることがありますが、この場合は、肉や魚のタンパク質と結合し、生臭さを消し、うま味を増します。

牛乳などもタンパク質とアリシンが結合し、臭いがとれるのはこの作用によるものです。あとレモン、ショウガ、シュンギクなどと一緒に調理することです。このことで、防臭効果が格段に上がります。

■旬の野菜・果物を食べる■

 ニンニクをたべる時には、旬の野菜や果物を一緒に摂ることも有効な方法です。旬のものには、多くのカルシュウムやマグネシュウム、カリウム、鉄などが含まれています。それらもにおいの原因であるアリシンを包み込みますので、臭いを減らしたり、和らげたりすることができるのです。トマトを例にしても、旬にできたトマトとハウス栽培で作られたトマトの味と成分を比べると、芳香性や物を吸着させる力などは旬の物のほうが圧倒的に勝っています。旬のものがないときには、繊維の多い野菜や果物が効果的です。イモ類、ゴボウ、ニンジン、ダイコンなどがあります。

■食後にお茶や牛乳を飲む■
 
 食後に飲む緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、コーヒーさらに牛乳などは臭いを和らげる為に有効です。緑茶にもいろいろ種類がありますが、玉露などは脱臭効果が高いので、ニンニク料理を食べたあとには、なるべく多く飲むようにしてください。コーヒーや紅茶などには、そのもの自体に強い脱臭効果がありますが、それにタンパク質や脂肪の多いクリームを加えるといっそうの効果が期待できます。

   <ガム、香水などを利用する>
   <食後に歯をみがく>
   <入浴剤入りの風呂に入る>・・・血液循環がよくなる。
   <散歩や軽い運動をする> ・・・血行がよくなる。


『永井勝次著「よく効くニンニク療法」より(家の光協会)』

Copyright (C) 2007 JAtouhoku-tenma. All Rights Reserved.